(過去ログ12-16より)

 

(ログ12より) かわいいってことは  <kei 他>

(ログ12より) 予防注射  <kei>

(ログ13より) 鼻歌で気がついた  <kei 他>

(ログ14より) さらさら ざわわ   <せお>

(ログ16より) 冬の朝  <kei>

(ログ16より) 風切る子わんこ  <kei>

 

 
かわいいってことは -kei

  2006/10/31(Tue) 15:59

 

いつもどおりにキッチンに立ち、ディナーの支度をしながら考える。

…アスラン・ザラの好みについて。
食事のことではない。
それなら知ってる。
奴の好きなのはロールキャベツ。それもケチャップなんぞで煮るという邪道なもの。
それから桃だ。
いや、だからそういうことではなく。

…彼の、つまり、好みについて。

男遍歴に関して言えば、イザークが把握している限りの男遍歴を省みれば、好みは結構決まっていると思う。
相手にはある程度のレベルを求めているようで、決して自分を安売りはしない。
だから、まぁ、イザークとしても納得したくは無いが納得せざるを得ないところがあって、それは自由にさせすぎた自分にも原因があるのだし。
しかしだ。

『好み』、というものは。

実は、アスラン・ザラは世に言う「可愛い物好き」ではないかとイザークは考えている。

例えばあのけったいなマイクロユニットのハロ。
元婚約者へのプレゼントであるとすれば、それはラクス・クラインのところにいる一体だけで済んだはずなのに、アカデミーでも軍生活の中でも、アスランは嬉々としてハロを作り続けていた。
それから幼馴染にやったトリィ。

男に

だな。

なんで小鳥型マイクロユニットなのか?

 

…そういう好みの集大成みたいなのが、シンである。

 

パートナー用のコーディネイタードッグは特異な注文でもない限りベビーフェイスだ。
体もちいちゃくまるっこく、庇護欲を掻き立てるようにできている。

することなすこと、愛らしく見える。
小憎らしいことを言っても生意気を言っても、所詮子わんこの遠吠えと許せてしまう。

とにかく。
アスランはシンに甘い。

……そういう可愛いもの好きだから、当然、選ぶ男もそういう傾向にありそうなものなのだが(まぁ一時のお付き合いである相手は別として)。

 

……何故、自分なのか。

 

それがイザーク・ジュールには分からない。

考えながらも彼の手はまったく危なげなく手際よく、食材を調理してゆく。
本日のディナー、どうやらハンバーグステーキであるらしい。

はっきりきっぱり言って、自分は可愛いどころか可愛げさえも無いと自覚している。
そういうのは不必要要素であると思っているし、そういう対象として見られて可愛がられるなんて趣味は理解できない。
だから、分からない。
何故アスランは自分を選んだか?
別段、自分がアスランの好みでなくとも必ず手に入れただろうし、実際、手に入れた。
だが改めて考えるとやっぱりさっぱり分からないのだ。
…俗に、結婚相手と恋愛の相手は違うと言うが、つまり、そういうことなのだろうか?
…いやでも自分達は確かに恋人としての時期も過ごしたし。

悩んでいる内ハンバーグは美味しそうに焼き上がり。
シーフードコンソメスープとシーザーサラダも綺麗に出来上がり。

 

さて。

「食事だ」

テーブルにディナーが並んで家族全員席につく。
そうして楽しい食事が始まるのだが

「わぁ、すげー! トームスだー!!」

シンがはしゃいだ声を上げる。
シンの前にあるプラスチックのお皿。その上のハンバーグはなんと!
シンの大好きな『機関車トームス』なのだ!
厳しいおっさん顔を、細く切って煮たにんじんやブロッコリー、そら豆などの野菜で作った機関車型ハンバーグ。
白い蒸気はカリフラワー。

「残さず食えよ」

トームスみたいに厳しい顔でイザークが言えば、

「食べるー!」

とシンは宣言!
どうにも野菜が苦手な子わんこに、なんとか野菜を食べさせようと。

それで、トームス。

「良かったな、シン」

嬉しそうなシンに前掛けをつけてやりながら、アスランもにこにこして。

それで

 

イザークをこっそり見て、微笑む。
シンを見るように優しいけれど、何処か甘さを含んだ顔をして。

アスラン・ザラは、可愛いものが大好きだ。

 

ちなみにレイのは『つばさ』だった。

 

似た者同士♪ -せお

  2006/10/31(Tue) 23:23

 

イザークは自分の可愛さを理解していない。
あんなに可愛いのにね☆

でも、シンも自分の可愛さを認めようとはしない。
可愛い以外の何物でもないのにね!



て事で、
アス「お前達、結構似た者同士だよな」
イザ「何処がだーーーっ」
シン「どこがだよーーーっ」
レイ「(聞こえないように)そういう所がです」

自分好みに囲まれて。
アスランさんたら贅沢者!

 

 

 
予防注射 -kei

  2006/11/07(Tue) 15:46

 

シンは子わんこです。
コーディネイタードッグの、パートナータイプの子わんこです。

パートナータイプの子は、普通のわんことの割合が多いので、どんなに嫌でもどうしても避けられない試練があるんです。
毎年あるんです。
それが

『六種混合予防接種のお注射』

なのです!

 

「シン! ちょっとだから!」
「やだー!」
「大丈夫! 痛くないから!」
「やだやだー!」

この日は確かに朝からみんなの様子が変でした。
なんだかシンと眼を合わせようとしないんです。
それに、お外に出て遊んでもダメだって言うんです。

…シンはなんだか毛皮がぞわぞわ。
…なんだろう。
…前にも、こんなことがあったような…。
…なんだったっけ…。

何処か落ち着かないようで、でもみんなしてシンの動きを見張っているようで…。
そんな調子でお昼近くになった頃、来客を知らせるチャイムが鳴りました。
ご主人様が足早に玄関に向かいます。
そこで誰かとお話してます。

……この声……。
……コレは、お医者さんの声です。

シンを看てくれる、獣医さんです。でも、どうして獣医さんがお家に来るのかな。……あれ?

やっぱり、前にも、こんなことがあったような…。
…えーっと…。

……………………………………………………は!!

「隊長、シンが気付いたようです」
「右から回り込め!」

即座に旦那様の命令が飛んで、レイがシンを追いかけます。
逃げ出したシンは、レイに追い詰められてご主人様と獣医さんのいる玄関ホールに逃げ込んじゃって…で。

「シン! ちょっとだから!」
「やだー!」
「大丈夫! 痛くないから!」
「やだやだー!」

痛くないなんて嘘だね!
だってチクってするし!
なんか変だしー!

シン、一生懸命逃げたんだけど、ご主人様には適いません。あっさり、とっつかまってしまいました。
ご主人様に抱っこされながらも、じたばた最後の抵抗を続けるシンの様子に、獣医さん、ちょっと困った笑い顔。

「最近の注射針は痛くはないんですけどね。シン君は敏感なのかなぁ」
「臆病なだけだろう」

後から来た旦那様が言います。

「違うね!」

シンは臆病じゃありませんよ!秋田犬になるんですからね!
でも

「ホラ、もう観念しろ」

って、ご主人様がシンのお尻を獣医さんの方に向けちゃって。暴れるアンヨもしっかり押さえ込んじゃって。

「やだやだやだー!」

シンは訴えたんだけどさ。

「はい。ちょっと我慢ねー」

ぷすぅv

「アスランさんの裏切り者ー!」

わあわあ泣きながら、ご主人様の不義理を訴える子わんこの頭をよしよしって獣医さんは撫でてくれます。
それからついでにお手々とかアンヨの具合とか、歯がちゃんと磨かれているかな?とか、お耳の中はちゃんとお掃除できてるかな?とか診察して。

「今年は、これでおしまいです。春先にまた狂犬病のお知らせを出しますので」

そう言って、ご主人様に接種完了の通知書を渡すと、帰っていきました。

「なんで俺ばっかしなんだよぅ! レイだってわんこなのにー!」
「貴様とレイでは違うだろうが」

お尻は痛いし、ご主人様には裏切られちゃうし。
シンはもう突っ伏してうぐうぐ悔し泣き。

「シン、拗ねるなよ。これで病気にならずにすむんだから」

言って、シンをよしよしと抱き上げながら、ふと手にした通知書を見たご主人様は

そのまま、固まってしまいました。

「どうした?」

と、同じく通知書を覗き込んだ旦那様と、レイと。

「…………」
「……予防接種じゃなかったか? 今日は」
「……なんで書かれちゃうかな……」

ってご主人様は言うけれど、でも仕方ないですよね。

『六種混合』のお注射、ちゃんと完了いたしましたって通知の下。

『やや太り気味』。

泣いちゃった子わんこに、ホントはアイスを上げて宥めようかと思っていたご主人様は結局それができなくて。
その日は1日、「裏切り者」呼ばわりされてました。

 

 

 
鼻歌で気がついた -kei

  2006/11/10(Fri) 12:10

 

本当です。皆様でお試しください。

 

◆もしもし?◆

「♪かめかめかめよ、かめさんよ〜」
「……もしもし」
「? なにー?」
「最初の部分だ。「かめかめかめ」じゃなくて。「もしもしかめよ」だ」

調子よく唄ってたシン、旦那様から指摘されてうんうん頷いて。
フンフン鼻歌でリズム取りながら体を揺らして(前奏部分らしい)

 

「♪もしもしかめよ、かめさんよ〜」

よしよし。

「♪もしもしかめよ、かめさんよ〜」

……おい。

「♪もしもしかめよ、かめさんよ〜」

……曲には合ってるがあってないぞ!

「♪もしもしかめよ、かめさんよ〜」

それで終るのかー!!

 

「貴様!歌くらいマトモに唄わんか!」
「なんだよぅ!」

リビングでぎゃあぎゃあ言い合い出した旦那様とシンの様子に、レイはこっそり思います。

やっぱり、子わんこって飼い主に似るんですね。

 

あ、これ! -せお

  2006/11/10(Fri) 21:07

 

たまにやるでありますーーっ
て事は、ワタクシ、アスランさんなみって事っすね♪

レイ「いや、どちらかというと…シ…」

 

いやでも -いくり

 2006/11/11(Sat) 00:01

 

> やっぱり、子わんこって飼い主に似るんですね。
いや、曲に合ってる時点で、アスランさんより子わんこの方が!

シン「覚えてないだけだもんー!」
イザ「偉そうに言うな!!」

 

 

 
さらさら ざわわ -せお

  2006/11/18(Sat) 18:43

 

 さらさらと
 冷たい風に吹かれるままに
 ざわざわと
 波立つ薄の海を見遣る

 

一見するとただ放置された土地と見える一面の薄の平原だが、古戦場の跡地を保存した貴重な戦跡であるとイザークは言う。

 

 さらさらと
 薄の原を風吹き渡り
 ざわざわと
 無邪気にかき分け仔犬が走る

 

「全く、薄というヤツは便利な物だな」
「ん?」
「小僧の位置が丸解りだぞ」

あれでは野戦の役に立たん、後でみっちり仕込んでやると、些か不機嫌そうなイザークに、

「いいじゃないか、シンはまだ子供なんだし」

アスランは苦笑いながら

「それに」

と続け。

 

 さらさらと
 薄の穂先が大きく揺れて
 ざわざわと
 仔犬はここと、指し示す

 

「それに」

もう一度そう言ったきり途切れた声の代わりにイザークの肩に微かな重みが生じ、そこから生暖かな物がじわり、じわりと広がった。
古の戦においては父と子が、或いは兄と弟が、互いを血と血で洗い合う事さえあったのだと、訳知り顔の歴史学者が“哀しい時代”と物語る。
けれど、今、その傷跡は深く薄に覆われて、無邪気に仔犬が笑うばかり。

「…いつか、例えば、千年後には…」

やっと絞り出されたアスランの声は、続く事なく冷たい風に吹き散らされて、

「その為の俺であり、貴様だろうが」

肩先を一瞥もせずに、イザークは唯一度、濡れ羽色の髪をくしゃりと掻き撫でた。
父と子が、互いに銃を向け合った、哀しみに満ちた宇宙(そら)がある。
百年、二百年、或いは千年の後でも、いつか同じ宇宙に抱かれて無邪気に子等が笑えばいいと。
願う想いは言の葉にはせず、ただ種と結んで綿毛に散らす。

 

 さらさら ざわわ
 金の穂波を風吹き渡り
 さらさら ざわわ
 仔犬が笑う

 

 

**********

世間が吉原色のご時世ではございますが、一面のススキをですね、書いておきたかったのであります
m(_ _)m

ススキと麦の違いはございますが、実はわたくし、『OZ』のラストの一面の麦畑の「綺麗だ」のシーンが大好きでして、今でも読む度にじゃーじゃー泣くでありますよ。

 

 

 
冬の朝 -kei

  2006/11/26(Sun) 21:11

 

伸ばした腕にひんやりとしたシーツの肌触り。
隣で寝ていた男は、既に起き出してしまったらしい。…まぁ、いつものことなんだけど。
半分覚醒した頭で、朝ごはんが出来上がる前にちゃんと支度しておかないとうるさいんだよな…とか考える。
や、ちゃんと分かっているから考える。
…あと何分、許されるだろう。
この気持ちのいいまどろみに浸っていることを。
でも自分の中では5分のつもりが、外の世界では30分経ってましたなんてことはしょっちゅう…や、毎日、だ。
…だから。
起きよう。
起きなくては。
そう思っているのに重い目蓋が持ち上がらない。
そうしてうだうだ自分を叱咤していたら、
もぞもぞ…何かが、足元から登ってきて…

くにゅ、むにんv
くにくに…くる、ふかv
…じんわりほかほか〜…v

…うう、いかん…これはいかん。
こういう寒い朝の、最強にして最悪な敵。
くく…胸とお腹にジャストフィットするなよ。
柔らかいお肉が温くて恐ろしく気持ち良いじゃないか!
ああ…お湯の滝にでも打たれているような…くそぅ…なんて手ごわい敵なんだ…。
…もはや…

撃沈するしかない………………

 

かくして。

子わんこシンの朝の攻撃を受けたご主人様は、子わんこの丸い体を抱っこしたまんま寝こけてしまい。
すっかりきちんと朝食を整えた旦那様に叩き起こされて、罰として寒空の中、買出しに行かされたのでありましたv

 

 

 
風切る子わんこ -kei

  2006/11/28(Tue) 17:08

 

シンは子わんこです。
MSのパイロットで、しかもザフトのエースパイロットなのです!

でも。

今日のシンはちょっと違います。

今日のシンは、MSのパイロットじゃありません。
コックピットでは感じられない風を肌で受け止めて走るのです。

冬の風は冷たくて、
人の心まで凍てつかせてしまいそう
だけど子わんこのハートは…

ハートは…

ハートは!

「熱いぜ!」

そう! 今日からシンはパイロットじゃないんです。ライダーなのです!
旦那様の白いマフラーを首に巻い(たら長すぎて引き摺ってますが)て、ご主人様のサングラスを(何度かけても落っこちちゃうので「もういいよ!」ってさっき捨てました)
…えーっと、それからお誕生日に貰った白いセーターと、スキー用の帽子と手袋も装着です!
完璧ですよ!
完璧なライダーですよ!

「俺は今日からライダーだぜ! ライダーは風になるんだぜ!」

何処から覚えた知識ですかそれは。

「どうしてライダーかって言うと、不良だからだぜ!」

明らかに間違ってますよ、それ。

「どうしてかて言うと、アスランさんが悪いんだぜ!」

シンがベッドの下に隠しておいた宝物、ご主人様ったら捨てちゃったんです!
…まぁ、ガッチガチに固まった肉まんを宝物と呼べるかどうかは…ねぇ。

子わんこ、颯爽とエアポケバイに跨ります!
グリップを捻ってエンジンスタート!!

 

フイイィィィン……

 

さすがご主人様のチューニングです。エアポケバイは軽快なエンジン音と共に、フワリと5cm浮き上がりました。

「俺は家出なんだぜ! ぐれたぜ!」

そんな訳で不良のいるトコまで出発だぜ!
…って、行き先分からないんですね…。

かくして時速4kmでエアポケバイは走り出した。
これで風と一体化できてるかどうかは分からない。

 

一時間後にジュール邸の正面門に着いた所でエアポケバイはガス欠になっちゃって、子わんこライダーぴすぴす泣いちゃって。

その後、ご主人様に無事保護されましたv
涙と風でちめたくなったほっぺにちゅーしてもらって、子わんこはぐれるのを止めてあげることにしました。

でも夏になったらまたライダーになって、今度は公園までがんばるつもりですよ!

 

子わんこライダーは(いつか)風になるんです!

 

ちょっとナイショのお話。

イザ「そう言えばディアッカの知り合いで「俺は風になるぜ」と言ってそのまんま星になった奴がいたな…」
アス「…分解しちゃおうかな、バイク…」