(過去ログ02より)

旦那様だって甘い時があるんだよ  <kei>

青いと言えばナイフと言うのは年代か?!  <kei>

ぺとぺと  <いくり>

 

 
旦那様だって甘い時があるんだよ -kei

2006/05/26(Fri) 15:13

 

「おっきくなるんだもん、秋田犬なるんだもん!」

そう言ってわーん!と泣き出した子わんこに、旦那様は溜息です。
シンは子わんこ。
豆柴の子。
だからどんなにどんなにシンが願っても
どんなにどんなにどんなにシンが望んでも
どんなにどんなにどんなにどんなにがんばっても!

 

秋田犬には、なれません。

 

旦那様は、シンとお出かけすることにしました。
めずらしいことに、旦那様とシンだけで。
シンをエアカーに乗せて、アプリリウスCityの中でも綺麗なことで有名な公園へ。
今日は。

今日は、シンと旦那様と、男同士の話し合いです。

旦那様は決心したんです。
シンに真実を話そうって。
シン、お前は秋田犬にはなれないんだって。

 

さて公園について、一人と一匹はまずベンチに座ったりして。
旦那様は、すっげぇ男前だから、公園にいる人がみーんな振り返ります。
シンは可愛い子わんこなので、やっぱりみーんな振り返りますけど、それどころじゃありませんよ旦那様は。

「シン」
「ん〜」

シンは退屈なのか、アンヨをぶらぶらさせて気の無いお返事。旦那様は何故か咳払い。

「柴犬というのはだな」
「ん」
「秋田犬と同じ猟犬だ。熊は倒さないが、猪を狩ったりする。非常に優れた犬なのだ」
「ん」
「小柄だが、誇り高い」

シンは旦那様を見上げました。

「秋田犬よりでっかい?」
「…いや、秋田犬の方が遥かにでかいな…」

正直だ。旦那様は、正直だー!

「じゃぁ、やっぱし、秋田犬が1番凄いんだね!」

シン、意欲と決意も新たに!

「俺、早く秋田犬にならなくちゃ!」

 

「………そうだな………」

 

帰り道で、今日のことは男同士、2人だけの秘密だって言って、旦那様はダイエット中なのにシンにバニラアイスを買ってくれました。

 

秋田犬には遠いけど、男同士の秘密を持って、シンはちょっぴり大人になったかもですv

 

 

 
青いと言えばナイフと言うのは年代か?! -kei

2006/06/08(Thu) 15:40

 

「これはなんていうやつ?」
「『RUSH』。BUCK社のセミオートタイプだ。BUCKは質実剛健がモットーだからな。最高級の耐久性を誇る」

ここの、

と、旦那様はシンの前にナイフを翳して、その部分を指差し。

「ハンドル上部にある安全装置をはずし、ブレードの突起部を押せばスプリングの力で簡単にブレードがオープンする仕掛けだ。もちろんサムノッチを使用してのオープン時もスプリングがアシストして瞬時にブレードがオープンするがな。ライナーロックだからクローズも容易だ 」

それってぇ
つまりぃ
どういうことだかチンプンカンプンのシン、旦那様を見上げる。

「つまり…実戦の際使いやすく、常備にも具合がいいと言うことだ。ナイフは銃と同じで個人の趣味が出やすい。これは8インチタイプで、装備するには重いが貫通性が優れている。俺はそういう方が好みだ」

シンには旦那様のお話は難しくって全然分からない。
分からないけど、シンはなんでも聞きたがる。
シンには分からないだろうって分かっていても、旦那様はいろいろお話してくれる。

銀色の、曇りのない綺麗なナイフ。
シンは、本当はいじらせてもらいたいんだけど、旦那様がナイフのお手入れをしている時にはお手々を出さないってお約束。

我慢。

だってこの家に着たばかり頃は、お手入れ中のお部屋にだって入れてもらえなかったのに。
シンはお部屋のドアのとこにお座りして、時々旦那様とお話しながら見てたんだ。
最近になってようやく、旦那様はお手々を出さないならって。
傍で見ててもいいって。
許してくれるようになったんだ。

コーディネイタードッグのシンの赤い目に、ピカピカ光るナイフはとっても綺麗に見える。
旦那様の持ってるナイフは大きくって全部ピカピカ。
ピカピカのそれは重くって、シンにはちょっと持ちきれない。
持ちきれなくて落っことしたりしたら大変だ。

だってシンの肉球はまだまだ柔らかいから。

「これ、すごく切れる?」
「斬れるな」
「大きいケーキも切れる?」
「…菓子は斬らん…」

じゃぁ

「何切るの?」

シンが聞いたら、旦那様の動きがピタっと止まった。
それから、ちょっと困ってるお顔でシンを見て、何か考え中。

シンはこういう時、割と粘る…いや、辛抱強く「待て!」ができるので、じーっと旦那様がお話するのを待っている。

そしたら

 

「シン、危ないから入っちゃ駄目だろ」

って、いつの間にか後ろに来てたご主人様が、ひょいっとシンを抱っこ。

「俺さわってないもん! さわらなかったら、いてもいいんだもん!」

シン、即座に抗議。

「ちょうどいい。冷蔵庫に入ってる桃のムースが冷える頃だ。食っていいぞ」

桃のムースケーキ!
ヒヤリとしてプルンとして甘くって美味しいムース! もちろん、旦那様の手作り。
シンはご主人様の腕からぴょんと飛び出して、たたたーっとダイニングに駆けて行く。

「過保護め」

シンがいなくなって、2人きりになったら、旦那様がご主人様にちょっと意地悪な声で言った。

「助かったと思ってるくせに」

ご主人様も負けてない。
つっけんどに言い返して、それから旦那様がデスクの上に広げていた数本のナイフをしげしげ眺め、

「こういうものに興味を持つようになったのかな…」
「男だからな。一応」
「お前、本当に物持ちがいいな」
「貴様は扱いが荒過ぎる。なんでもかんでも使い捨てにしおって」

ふん、と旦那様は再び専用の布でナイフの刃を磨き出す。

「そんなことないぞ。俺だってちゃーんと大事に手入れしてるのがあるんだから」

一本だけ、な。
なんて、意味深なご主人様の言い方に、旦那様は興味を引かれて

「どんなのだ?」
「OSSのウォリア・ファイター」

ご主人様の答えに、旦那様はちょっとびっくり顔。

「廃盤モデルだから大事にしろって。始めてのプレゼントがナイフだもんな。まったく」

してやったりと綺麗な笑顔のご主人様。

「アスランさーん!」

シンが、そんなご主人様を呼んでいる。桃のムースが早く食べたくて。
今行くよと返事して、ご主人様はびっくりしたまんまの旦那様はそのまま、シンの方へ行っちゃった。

後に残されて、旦那様は少ししてからようやく溜息と一緒の苦笑い。

それは、アカデミー時代にくれてやった物。
コレクションの中でも、特に気に入っていて、掌にも良く馴染んでた。
手に馴染む、という具合の良さとか肌合い。
しっとりと来る緩い重みや滑る感触。そんなものが酷似していて、だからくれてやったのだ。
まさかそれを今もなお、後生大事に持っているとは思ってもいなかったし、実際、忘れていた。記憶。

旦那様、苦笑はちょっと、照れくさそうな笑みになり。

そうしてたまには出して使ってやれという旦那様の進言に従ったのか嫌味なのか、ご主人様お気に入りの大事なそれは、その後の夫婦喧嘩でしばしば使用されるようになったのだった。

 

 

※ご夫婦ネタなので、ちょっと下ネタ引っ掛けてるの、分かる(^▽^)?

 

 

 
ぺとぺと -いくり

2006/06/21(Wed) 21:46

 

ご主人様は、ほっぺたが冷たくて、ぺとぺとするので目が覚めました。

子わんこのお鼻かな。
でもそれにしては、なんか冷たいなぁ。

ご主人様はねむねむだったのですが、あんまりぺとぺとするので、仕方なく目を開けました。
それから、お布団の中から手を出して、ぺとぺと冷たいほっぺたを触ってみました。
なんか、ぺとぺと冷たいものが触ります。子わんこじゃないのです。もっと、ずっとちいちゃいぺとぺとです。

前にもこんなことあったような。
なんだか嫌な予感がしました。

でも、ご主人様は、何でもちゃんと確かめないと気が済まない性分なのです。
なので、そのちいちゃいぺとぺとを、えいやっと捕まえて、恐る恐る目の前に持って来ました。

・・・・、シンーーーっ!

ご主人様、絶叫。

「なにー」

ベッドの足元で、シン、びっくり。

「捨てて来い!」
「えー」

またー?

ちいちゃくて冷たいぺとぺとは、ぬめぬめーのなめくじでした。
しかもでっかいんです。ぺとぺとっていうか、べとべとです。

「アスランさんのは、一番でっかいんだよ!」

子わんこ抗議!見当違いだけど!

「こ・・・こんなところ連れて来たら死んじゃうぞ!放して来い!」

ご主人様も、ちみっと学習したみたいです。なんだかもっともらしいことを言っています。
でも、それを聞いて、シンはへちゃりとお耳を落っことしました。自慢の尻尾も、足の間です。

「死んじゃうの、やだー」

あっという間に泣きわんこです。
これにはご主人様も慌てました。だって、こんなに泣いちゃうなんて思わなかったんです。

「だから、外に放して来てやれ」
「だって、ステニャー!」

泣きわんこは訴えます。
ああ、そうかとご主人様は思い出しました。
シンは、前に海に行ったとき、浜辺で拾ったうみうしを、お友達だったステニャだって言って、連れて行こうとしていたのです。
なめくじとうみうしは、少しだけ、似ています。

「シン」

ご主人様は、もう一度言いました。
なんか、後ろでにゃーにゃー言ってる気はするのですが、きっと気のせいです。
だって、ジュールさん家にはわんこはいても、にゃんこはいないんだもの。

「だからこの子のために、放して来い。な?」

 

ご主人様に言われた子わんこは、うぐうぐ泣きながらお外に行きました。
ご主人様は、子わんこが片手に握ったビニール袋を見ないようにしながら、ほっと息をついて、それからぎろりとお部屋の中を睨みました。

お部屋の中には、旦那様が、きちんと着替えて椅子に座って。すっかり見物の姿勢で、にやにや笑いながらご自分の奥様を眺めていました。

「お前・・・見てたんなら起こせよ」
「起こすわけなかろう。こんな面白いものを。・・・そうだな、顔より、他のところに置くように言ってやればもっと面白かったか。惜しいことをした」
「違うところ・・・ってお前!」

ご主人様たち、また朝っぱらからぎゃーぎゃーわーわー。
うぐうぐしながら、一匹づつお別れを言ってなめくじ(ステニャ)を放していたシンは、きょとんとお部屋を振り返って、またうぐうぐ。

ご主人様がシンを迎えに行って、旦那様がごはんを作ってくれるまで。
ぎゃーぎゃーでわーわーでうぐうぐな、ジュールさん家の朝でした。