(過去ログ01より)

みんなに虫、朝やる <いくり>

首輪 <kei>

うちのわんこまた太ったよ記念 <いくり>

 

 
みんなに虫、朝やる  -いくり

  2006/05/18(Thu) 22:43




ちくちくと、何かにほっぺたをつつかれて、ご主人様は目が覚めました。
子わんこの尻尾かな。
それにしては、なんかちいちゃくてちくちくするなぁ。
ご主人様はまだねむねむだったのですが、あんまりちくちくするので、仕方がないので目を開けました。
目を開けて、そこで固まってしまいました。

「あ、アスランさんおはよー」

足元くらいから、シンの声がします。
ちくちくは、シンの尻尾なんかじゃありません。
ちくちくは、うごうごで。ちいちゃいシンよりも、もっとずっとちいちゃくて、でも・・・・

「う、わぁーーーーーっ!

すぐ隣で大声を出されて、やっぱりねむねむの旦那様は、耳を押さえてむっくりと起き上がりました。
昨日は遅かったので眠いのです。
なんで遅かったかは、もちろんお子様にはナイショです。

「何を朝から大声で・・・」
「隊長にもあげるよ!」

シンはいい子だから、みんなの分をちゃんと獲ったんだ!
にっこにこのシンが、ちょこん、とシーツの上に置いたのは、小指くらいの大きさの、毛虫でした。

「捨てて来いーーーーっ!」

ご主人様、プチパニック。
旦那様は、呆れた顔をしてシーツの上でうごうごしている毛虫を、ちょい、と指で摘まみ上げました。

「捨てて来いとさ」
「なんでー?せっかく獲ったのに!」

シンが持ったビニール袋には、毛虫がいっぱいうごうごしています。
うじゃうじゃです。

「貸せ!」
「あー!アスランさんずるいーーー!」

シンは、びっくりして大声を上げました。
パニックから立ち直ったご主人様が、シンの獲った虫をひったくってしまったのです。
ご主人様には、ちゃんと一匹あげたのに!
全部持ってっちゃうなんてひどい!!
しかし、ご主人様は、シンのぶーぶーの抗議なんて知ったことではありません。
窓の外に、ビニールの中身をぶちまけます。

「わーーーん!」

せっかく獲ったのに!!

「虫なんか獲るんじゃない!どうするんだあんなの!」
「美味しいもん!」
「食べたのか!?」

ご主人様、真っ青。

「吐け!」
「やだーーー!」

ばったばったと暴れる子わんことご主人様をぼんやりと見やり、まだ眠い旦那様は、窓の外になんかぶちまけても、絶対また拾ってくるだろうなぁと思い。

「イザーク!お前も何か言・・・、寝るなーーーっ!」
「うるさい!貴様のせいで寝不足なんだぞ!」
「誰のせ・・・拾うなこの
バカーーーっ!

朝っぱらから阿鼻叫喚。
いつもの、騒がしい、ジュール家の朝でした。
 

 

 

 
首輪 -kei 

2006/05/23(Tue) 22:10 



シンには赤いの。レイには青いの。

レイのは、地球にいるご主人様からの贈り物で、シンのは、お揃いの色違いを、ご主人様がくれたんだ。
どっちも銀色の刺繍で名前が縫ってある。
だけどシンは上手につけられない。
首輪、ほっぺのとこまで潜っちゃって、これじゃかっちょよくわんわんできないし、お食事もできない。

コーディネイタードッグだって、首輪が無いとダメなんだ。
一匹でお外に出られないんだ。
ナノマシンの登録票を注入してあるから、本当は意味の無い首輪。
だけど人みたいなコーディネイタードッグと人を差別するための首輪。

「やめちゃおう」

ご主人様がそう言って、シンのもレイのもはずしちゃった。
まぁね、でもね。
記念に持ってるんだったら、いいよね!
シンは、首輪を宝物と一緒にしまうことにした。
レイは、はずした首輪をしみじみ見てる。
どうしたのってシンが訊いたら

 

「…ギルのくれたのは、夜にしかつけたことがなかったなと思って」

 

ドサって音は、旦那様が持ってた重たい本を落とした音。
いやいや。
もしかして、旦那様の固まっちゃった音だったのかもしんないな。

シンは首輪をあぐあぐする。
皮のいい匂いがして、噛み応えばっちりだし。
それで、ご主人様に叱られる。

 

レイは昔を思い出す。
レイがひっそり言葉にする思い出は、旦那様を凍らせる。

 

思いも重いも思い出も、みんな、それぞれ。
 

 

 
うちのわんこまた太ったよ記念 -いくり

2006/05/25(Thu) 22:32

 

「いいか、おやつは3時だけだぞ」
「3時は食うのか!?」
「なんでーーー!」
「ご飯も、少し減らそうな」
「ああ、食い過ぎかも知れんな」
「やだーーー!」
「風呂の後のアイスは・・・仕方ないか」
「それが一番悪いんだろうが!!」
「アイスーー!!」

 

今日は、定期健診でした。
そしたら、シンは獣医さんに、太っちゃったって言われたんです。
太っちゃうと、ちょっと困るんです。
だって、パイロットスーツ閉まらなくなっちゃう。

「太ったんじゃないもん!おっきくなったんだもん!」
「体高は変わってなかっただろうが!」
「2みり大きくなったもん!」
「それ、冬毛になったからじゃ・・・」
「違うもんおっきくなったんだもん!」

実は、太っちゃったことよりも、2みりしか大きくなれなかったことの方が、シンにはよっぽど問題なんです。
2みりってどれくらいか、シンだって知ってます。
レイに聞いたら、「これくらいだな」って、持ってた本のページを、ほんのちょびっとだけ摘まんでくれたんです。
ええ、ほんのちょびっとだけ!

「おっきくなるんだもん、秋田犬なるんだもん!」

わーーーん!と泣くシンを、ご主人様はお膝に抱っこしました。

「こら、泣くな、男の子だろ」

大好きなご主人様にイイコイイコしてもらって、ちょっと涙の引っ込んだシンは、ご主人様のいい匂いのする胸に頭をくっつけて、くんくんしました。
それが、あんまり可愛かったものだから。

「泣きやんだな、偉いぞ。ご褒美にアイスをやろうか」

ご主人様は、にっこり笑って。

「アイス!」

シンも、ぱあっと笑って。

「それが一番悪いと言ってるだろうが!!」

二人揃って、旦那様に怒られてしまったのでした。