『花のごとく』

 

 

昼間の慌ただしい喧噪から離れると、館に帰った女主人は一つ息を吐く。
もうそろそろ全てを若い人々に譲って、後進を育てる路に入りたいものだ、と。
そう思う彼女すら過去の歴史から云えばまだまだ若い部類にはいるだろう。
ADの時代からこのCEの時代まで。
政治というモノに携わる人間というのは、その経験値において壮年のものが多い。
その中で、彼女は多くの仲間と共に青年の時代から政治というモノに携わってきた。

そして、今。
彼女と同じ青春を歩み、同じ舞台に立っていたものの半数が既にこの世のものではない。
それを時代と人は云うかも知れない。
それが運命というかも知れない。
けれど、その失われたものは確かに彼女の中にあったもの。

かつて。
『プラントの3名花』
そう謳われた3人の少女が居た。

 

白銀の冬薔薇。
奇跡の芙蓉。
そして。
蒼穹の白百合。

 

そう謳われた少女はやがて長じ、それぞれの運命の下、精一杯の生を生きた。

一人は自立の路を歩み。
一人は自分の示した運命のままに生き、病に倒れた。
そして、今一人は。
想い想われた人と手を取りながら、その運命に翻弄され、路半ばにしてその生を奪われた。

今、生きているのは彼女一人。

けれど、3名花に連なる系譜はそのままに引き継がれている。

 

白銀の閃光として。
奇跡の歌姫として。
そして。
蒼穹の紅蓮として。

 

この、未来、まだ見えぬ宇宙の砂時計の中。
確かに繋がっていく系譜。

「私は……彼らの導となりましょう」

志半ばで潰えていったそれらの愛すべき人々のために。
未来がどのように進んで行くにしろ、彼ら自身がどの路を歩むにしろ。

 

いつの日か、再び、懐かしい人々に出会える日のために。

 

[FIN]2007/04/01up





 

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